住宅ローンを工務店やハウスメーカーに依頼する場合は、住宅ローンの背景を知る必要があります。
戦後の高度経済成長期に、政府は住宅不足を解消するために、持ち家政策を推進しました。住宅不足の方法は、政府が賃貸住宅を供給する方法と、国民に持ち家を推奨する方法がありますが、政府は後者の政策を選択しました。時代は高度経済成長期で雇用は安定し、勤労者の賃金はベースアップで年々増加していきました。経済はインフレが続き、お金の価値が年々下がっていく状況が続きました。収入が上昇し、お金の価値が下落する状況は、住宅ローンを借りて、持ち家を取得するのに適していました。多額の住宅ローンを組んでも、年毎に返済が楽になっていくので、国民はこぞって住宅ローンを借りて、持ち家を建てていきました。
しかし、平成に入り、バブルの崩壊により状況は一変しました。雇用は不安定になり、ベースアップは多くをのぞめない状況となり、デフレによりお金の価値は年々上昇していく状況となりました。この状況は住宅ローンを始めとして、借り入れにより事業を行うには適さない状況です。日本では現在もこの状況が続いており、住宅ローンを組んで住宅を建てるには、慎重な配慮が要求される時代となっています。
このような状況下で、注文住宅を建てるために住宅ローンを工務店に依頼することには注意が必要です。工務店は新築を受注したいために、依頼者の家計に多少無理があっても住宅ローンを紹介し、自分たちの仕事につなげようとするでしょう。そのような工務店へは、住宅ローンを依頼するのは避けたほうが無難です。良心的な工務店では、利用者の家計全体を考慮した返済計画が必要なことを認識し、そのために相談にのってくれる会計士やファイナンシャルプランナーを紹介してくれるはずです。そのような工務店は信頼でき、住宅ローンを頼んでも間違いないはずです。金融機関へ直接相談に行く方法もありますが、金融機関の担当者も、自社の住宅ローンの利用を増やさなければならない立場にあります。担当者は自社の住宅ローンの有利さをアピールして、利用者の返済計画に多少の無理があっても薦めてきます。
以上のことから、無理の無い住宅ローンの計画のためには、第三者となる専門家への相談が必要です。会計士やファイナンシャルプランナーの中には独立して事務所を構える人もいます。独立している専門家に相談すれば、依頼者に有利となるアドバイスをしてくれるはずです。相談料が発生しますが、住宅ローンの返済が楽になれば、相談料の元は取れます。