平屋住宅と暮らし方

新築の注文住宅で平屋を選ぶ人はあまりいませんでしたが、最近では年を取ってきて夫婦二人で快適に暮らすために、平屋を選択する人が増えてきています。平屋は土地面積を多く必要とするため、地価の高い都会ではあまり歓迎されません。軒高がどうしても二階建て以上の建物に比べて低いので、日当たりの面から考えても、住宅密集地にはあまり見られない形態です。

また家族の多い家庭では部屋数が確保できないなどのデメリットから、選択肢に上がらないのですが、逆に年を取ってくると、二階建ての構造に不都合が出てくることもあります。たとえば二階への上り下りは、老化に伴って難しくなる場合もあります。また、小屋裏のロフトや収納スペースは、急な階段やはしごを使うことが多く、若いころなら楽しむことができても、だんだんと足が遠のくことになります。

二階建てのフロアスペースは、コンパクトにまとめてもトータルすると結構広さがありますので、これらの掃除は大仕事です。掃除機をもって二階へ上がり降りしながら掃除をすることを考えると、平屋の効率の良さは見逃せません。洗濯も同様です。重い洗濯物をもって二階へ上り下りすることを考えると、庭や軒下にすぐに干せる平屋はとても便利です。平屋のメリットは、何といってもワンフロアですべての生活圏を網羅することができるという点です。田舎など、土地を広く確保できる場合や、周りに住宅が密集していない条件の場所なら、逆に過ごしやすいといえるでしょう。また、平屋は庭をリビングの一つとみなし、開放的に外とつながりやすい住宅の形態です。昔から、庭との間に縁側があり、自然を感じながら生活をすることができました。

風を感じやすいのも、平屋の特徴の一つです。構造が簡単で頑丈なので、広い開口部を取ることが可能な平屋は、南北に開口部を取ることなどによって、風の流れを家の中に取り込み、涼しく快適な空間を作ることができます。軒が深いので、直射日光を遮りながら、適度な明るさと風の流れを手に入れることができます。都会や住宅密集地でも、日当たりを計算したり、風の流れを計算したりすることで、快適な平屋住宅を作ることもできますが、生活する視線が、外の視線と同じ高さなので、人の目が気になる場合も出てきます。周りを囲んでしまえばそれも気にならなくなるかもしれませんが、防犯上の問題や、風通しの問題など、いくつか検討するべき項目が出てくるでしょう。